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『悪の教典』教師BANG BANG物語


原作は今月読んだばかり。映画の上映前にチェックしておこうと思ったのです。先に原作の感想をいっておきますか。上巻で爽やかな青春譚を隠れ蓑とするように蓮見のサイコパスとしての狂気を潜めながら、ゆっくりと皮を剥がすように浮かび上がらせたところで始まる下巻の大殺戮。いかにも私が好きそうな題材なんですけどねぇ・・・最後はだいぶ気分悪くなっちゃいました。テーマは大好物なはずなのに、罪もない高校生を殺していく蓮見が憎たらしく感じてきたんですよね。想像力が逞しすぎるのか、淡々と読めない自分にも嫌気が刺してきてしまい、読了後は二度と読むまいと思ったほどです。だからこそ映画では娯楽に昇華してくれることを期待してました。

さて映画はと言いますと、なかなかよかった!何せ血に飢えてますから、私は。『ヒミズ』の二階堂ふみ染谷将太コンビの存在感も然ることながら、『桐島、部活やめるってよ』の浅香航大や『告白』の西井幸人、『書道ガールズ!!』の小島藤子など、ここ最近の青春映画で活躍するフレッシュな面々のあっけない死に様に拍手。あれ?よく考えたら皆さん過去の映画でも理想的な青春を享受することなく本作で死んでますよ、みたいな。世知辛いですね。ちなみに私は、DVDが出たら林遣都キュンの悶えるフェラれ顔だけ1000回リピート再生する予定です。

脚本も原作をこれぐらい短くしてもよかったのではと思うほどまとまっており、細かいカットを違和感なくつなぎ併せることにより、全体の整合性も上手くとれていました。しかし、原作が冗長であるが故に、蓮見の米国時代の回想シーンのブッ込み方には違和感があり、物語上で彼の人格形成をするには別の表現方法で十分代替可能だと思います。原作に忠実にするプロ意識が、結果的に弱点になってしまっているのが惜しいです。どちらかといえば、蓮見が共感能力に著しく欠けることにいち早く気付き、彼を諭す恩師のエピソードの方が破綻した人格をより鮮明にすると思うのですが、絵的に地味になるためか削られてました。

更にその米国時代を挟んだことで、後半のライフルが蓮見に語りかけてくる描写もよく分からず仕舞い。ビデオドロームを思い出しちゃいました。とはいえ、お得意の悪ノリギャグも控えめ。原作に惚れているのかもしれませんが、せっかく二時間に凝縮するのですからもっと振り切っちゃってもいいのになぁと少し歯がゆい。

伊藤英明の演技は文句なし。海猿で鍛えられた肉体を晒し、不自然なほど自然に爽やかな教師になりきってます。殺戮場面では、黒曜石のような澄んだ瞳のまま淡々と数をこなしていく姿に惚れぼれ。原作のような各生徒との一騎打ちは殆どなく、容赦ないバンバンバン。必見です。

いかんせん最近の邦画は血も火薬も足りませんので、こういう作品を契機に我々のような吸血鬼の喉の渇きを潤す作品が沢山出てくると良いなぁと願います。来年以降に胸をときめかせたい人は劇場へ足を運びましょう。三池もサイコパスを描きたいんじゃなくて、単に血に飢えてるだけなんだって分かりますから。そうそう望み通りにはいきませんけどね。でもエンディングのEXILEがもたらす、あっけらかんとした余韻ゼロのチグハグ感は個人的に100点あげちゃうぞ。

結局、吹越満血染めのバールは何も生かされなかったですね。もはや編集ミスでしょうか?

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

『アナグルモール』語り

福地先生が現在、体調を崩されて連載をお休みしているということなので、応援のつもりで今回は「アナグルモール」について書こうと思います。

アナグルモール 1 (少年サンデーコミックス)

アナグルモール 1 (少年サンデーコミックス)

主人公のルチルは見た目は普通の人間の男の子ですが、実は人類未踏の地下深い世界に住んでいる「マジン」と呼ばれる種族です。マジンたちは人間たちを遙かに凌ぐ身体と、「マジナグラム」と呼ぶ特殊能力を持っています。にもかかわらず、彼らの間では人間を凶暴で恐ろしい、強力な敵であると言い伝えられており、多くの彼らはそれを鵜呑みにして信じています。「地上に行くなんて無謀だ」そう言われている中で、ルチルは人間の弱点を探るために自ら名乗りを上げてスパイになるのでした。

一巻では、ルチル少年が草薙家にホームステイし、人間のデータを収集しようとする話が中心となっています。長女の千羽、次男の京介らと関わるうちにルチルは自分たちの種族にない「家族」という存在を学んでいくのです。そしてマジンにはない「あいじょう」という感情についても・・・

と、ここまで書いているとハートフルなヒューマンストーリーだと誤解されそうですが、殆どがギャグで構成されています。そこがいい。福地節全開です。では「アナグルモール」の良さを列挙していきましょう。

1)アクション
アナグルモール」は「タッコク」のギャグセンスと「うえきの法則」の能力バトル要素を併せ持つ作品といえます。動きがとにかく多く、アクションでグイグイ引き込まれます。元々福地先生は体のバランスが手足に掛けて特徴的に細くなるように描かれるのですが、このタイプの体型はアニメでもよく見受けられ、アクション描写がしやすいのかなと思ってます。躍動感が出やすいのではないかと。とりたてて個性的なアングルが多いわけではないのですが、見やすくていきいきとしたキャラクターのアクションが好きです。

2)世界観
人間界とは異なる世界を地下に築いている「マジン」たちには独自の言葉があります。何でルチルが地上で人間語をベラベラなのか分かりませんが、彼にもしょっちゅう分からない言葉がでてきます。「あいじょう」とかね。一方で、マジン語もたくさん登場するのですが、私はその語感に福地先生の個性が炸裂していると思うんです。まずマジンたちの使う特殊能力の名前。彼らはそれぞれ一人ずつ異なる能力を持っているのですが、例えばルチルの特殊能力「デコス」「ボコヘル」。名前からなんとなく連想できるかもしれませんが、凸と凹からきています。つまり対象物をデコス=隆起させたり、ボコヘル=陥没させたりすることです。他にも対象物を軟化させる「プリマ」、相手の能力をコピーする「マネル」、対象物を操作する「マリオ」などなど。また、マジンの弱点でもある耳当ては「ミガルド」と言います。なんだかかわいくないですか?ルチルの能力である「デコス」と「ボコヘル」はその名の通りで単純なのですが、その明快さが気持ちよく、なおかつ応用を効かせてくるので面白いです。

物語としては2巻の小型化させる「コルト」戦が白眉、というかお気に入りです。

某海賊漫画みたいにグチャグチャに鼻水垂らさないのがいい。なのにいい表情です。繊細な人しか描けないって、こんなの。あと数ページでギャグに転化してしまうあたり、自分の悲劇も笑いにして人に話してしまうタイプの人にイイでしょう。トラジディに酔えない、照れ屋さん向けだと思うのアタシ。

3)ストーリー
主人公のルチルはモノを凸凹させるだけの能力しか持っておらず、昔から落ちこぼれ扱いされ、爪弾きにされています。負けん気だけは失わない熱いやつです。認められたい、バカにした奴らを見返してやるという負け犬スピリットで意を決して地上にスパイとして飛び出しますが、むしろ彼に衝撃を与えたのは、人間の持つ「心」でした。ルチルが今まで感じることのなかった「家族」という居場所、熱い「情」に触れていくのです。特に草薙家の次男の京介は不良に見えますが、誰よりも不器用で正義感が強く家族想いです。彼らの友情も見もの。とはいえ、別にルチルは知らないだけで感情のないドライな性格というわけではないんですけどね。マジンは能力は高いのですが、基本的にものすごく頭が悪いのです。バトルしか脳がないようです。

個人的には一巻の人間界で奮闘するルチル少年のドタバタ劇をもうちょっと楽しみたかった感があるのですが、長女の千羽がさらわれてしまい、彼女を取り戻しに地下世界(アナグランド)に戻らざるを得なくなってしまうので、二巻からはお尋ね者となってしまったルチルと、人間の「大魔王」として同じく指名手配をされた京介のコンビネーションとバトルを楽しむのがメインになっていきます。襲ってくるマジンたちはルチルと違って、割と本気で性格が悪いので結構ヒヤヒヤ。どれも個性的です。あと密かに好きなのは、千羽のストーカー。期待してます。

4)おんなのこ
クドクド抜かしてしまいましたが、福地先生の作品は「おんなのこ」の魅力が9割を占めています。いえいえ、今まで書いてきたことが嘘というわけではありませんが、現在読んでいる数多の漫画の中でも群を抜いておんなのこがかわいいのです!!太股のムチムチ感、ほっぺのプニプニ感、デフォルメも可愛すぎます。あーかわいい。千羽ちゃんかわいいよ!スーハースーハー。動きも表情も多様性に富み、クルクル変わる表情と仕草に癒されること間違いないです。

ちょっと勝気なところがたまりません。「メッ」顔に弱い。

逆に男の子はもうちょっと骨っぽさが出ると良いかな。ルチルは小柄なのでともかくとして、京介はパツパツのデニムがちょっとヤらしいです。

とにかく可愛い女の子に癒されたいという邪心だけで読み初めても良いぐらいですので、おすすめです。どのキャラクターも本当に魅力的。女性にもオススメです。

三巻ではマジンに対して非力だった京介が開眼し、戦いに積極的に関わっていくことになるので、今後一体どうなるか予想ができない展開になっています。福地先生にはまた筆を振るっていただくためにも、ゆっくりでも全快を祈念しております。読んで応援!だよ!

アナグルモール 3 (少年サンデーコミックス)

アナグルモール 3 (少年サンデーコミックス)

すみだ水族館に行ってきました。

ういっす!何が復活だって話ですな。全然更新してないじゃんって。先日スカイツリーすみだ水族館に行ってきたので、写真載っけます。こういうのもいいと思うの。

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入口。有給使って行ったので、それほど混雑してなかったです。

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入りますと、この水族館のコンセプトが映像として流れます。

  • まずは『水のきらめき』コーナーから。

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  • 続いては『ゆりかごの連なり Part1 水の記憶』ようはクラゲのコーナーです。

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クラゲにはかなり力を入れている様子。
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一日刻みでクラゲの成長プロセスが見れるのは、かなり珍しいと思います。

  • 次は『ゆりかごの連なり Part1 小さな仲間たち』ちっちゃいものクラブです。

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キャプションがユニーク。青い証明も魚を気遣ってのことでしょうか。

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残念ながら本来の色はよく分からず。

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なんと!いとしのバットフィッシュに会えました!長年の片思いがここで結実!あまりの可愛らしさに動画まで撮影してしまいました。本当に歩いてましたよ。
バットフィッシュってなんすか?ってお方は是非こちら

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実はハリセンボンも私の推しメンです。

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鉄腕ダッシュの?

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  • ここは『光と水のはぐくみ』コーナーですかね。

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チンアナゴがずらーっ!

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こんだけいりゃあ、そりゃイジメもありますし…

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ケンカもありますわ。それにしても顔怖い。

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やはりサメは難しい。けど、可愛いですなー。

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「ぼくはひとりでボーっとしていたいだけなのに…」

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「どうして隙間にはいってくるかなぁ…」

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「や、もうちょっと反対側に寄って欲しいんだけど…」

  • 続いては「水といのちのたわむれ」つまりペンギンとオットセイです。

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ラブラブですか。爆発しなくていいと思う。

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ペンギンの数多いです。

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威勢がよくて、なつっこいのが多かった気がします。
オットセイは餌やり中のため混雑が酷く、観ることを諦めました。

  • 『いのちのゆりかご』は小笠原諸島の海を再現した大水槽です。

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サメは絶えず動いているので、本当に撮影しづらいです。

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エイは下から見ると愛らしく、上から見ると凛々しくて好きです。

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そんなところです。

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おっと、ウミガメを忘れてましたね。では特別に仙台に出張に行っていた時の写真でお送りいたしますよ。飼育員さんに聞いたところ、この子は今はすみだに戻ってすくすく育っているとのこと。

オリックスは何でもやるなぁと思いますよね。多額の資金を投入して、ひるまずに多様な業態に触手を伸ばす姿勢にガッツを感じました。「いのち」をテーマにした見せ方も興味深かったです。そして例のごとくスカイツリーの写真はゼロ!ですよん。以上、しゃもじでした。

25歳の知育菓子−クラシエ・ハッピーキッチンシリーズ「ドーナツ」篇

昨日、TOEICが終了したためブログも復活です。色んなこと我慢しすぎて、フラストレーションが爆発してしまいました。そこで13歳のハローワーク改めまして、「25歳の知育菓子」です。クラシエから販売されているハッピーキッチンシリーズの「ドーナツ」に挑戦。これまで「たのしいおすしやさん」は友人宅で傍若無人に作ったことがあったのですが、ドーナツは初めて。今回は順を追って作業工程を書いていこうと思います。私は器用なタイプではないので、参考にもならないと思いますが、暇つぶしに見てみてください。

ハッピーキッチンドーナツ 5個入 BOX (食玩・知育)

ハッピーキッチンドーナツ 5個入 BOX (食玩・知育)


まずパッケージから取り出します。盛り付けの時に使うので、点線に沿ってキレイに切るのですが、私は注意書きを読まずにビリーッと開けてしまいました・・・早くも前途多難。


中身はこんな感じです。左から、トレイとスプーン、(下段)ココア生地のもと・カスタード生地のもと・クランチ・チョコソースのもと・(上段)しぼり袋・バニラソースのもと・つぶつぶイチゴソースのもと・チョコスプレーです。


材料はすべて箱の中に入っており、他に準備するものは水だけです。ミルクで作るともっとおいしいようですが、残念ながらはやる気持ちを抑えきれず、そこまで気が回りませんでした。


ではカスタード生地から作っていきます。決められた分量を注ぎ、カスタード生地のもとを入れていきます。スプーンを使って混ぜまぜ。こね始めはちょっと水が少ないかな?と思いますが、辛抱してこねていくとちゃんとした生地になります。やっぱり決められた分量に従う素直さが大切だなと。林間学校のカレー作りで、水の入れ過ぎでスープカレーと化していたグループありましたよね?それを思い出します。


こねるというよりもスプーンの背で押して、なじませるというのを繰り返すのが良いと思います。次第にちゃんと生地になってきます。


とりあえず四等分に生地を分けておきます。これをココア生地も同様に作ります。


続いてドキドキのドーナツ形づくりに入ります。トレイの型に、作った生地を適当に詰めます。ギュギュっと押して、型がしっかりと残るように。結構生地が脂っぽいので、プラスチックにくっつくことなくポロッと取れるため、割と強めに押していいと思います。


適当に、と言いましたが、適当過ぎて形がグゾグゾになってしまったため、スプーンをヘラ代わりにして形を微調整。さらに、ドーナツの穴が埋まってしまいました。これは大変。ドーナツの穴を空白だろうが、存在だろうがそんなの関係ねぇ。必要なんだ!


ということで細ストローを使ってくり抜きました。これも少しずづです・・・太いストローで一気に穴をあけたいところですが、思い切った行動に出ると大抵失敗するので地道にやりました。


この時点でストローを使っても良いと思います。というか穴の綺麗な開け方がよく分からないので私はそうしてました。


じゃーん。とりあえず、デコレーションする前の段階まで出来ました。思ったよりいい感じにハーフになっている。ちょっと歪なところも、ドーナツを揚げた時にできる割れ目みたいでリアルだと思いませんか。ポジポジ!


続いてグレーズドするためのソース類を作っていきます。今度はトレイのこちらの三角コーナーを使って水の分量をはかります。とっても便利。でも表面張力で盛り上がった分まで水を入れてしまうと水っぽくなりすぎるので、ただが1滴されど1滴の世界だったりします。


チョコペン用のソースも作ります。この絶妙なとろみ加減に感動しました!原材料の違いで、こんなにテクスチャーの異なるソースが出来るんだなぁとワクワクしました。


しぼり袋に詰めていきます。こんなこと、バレンタインにもやったことないよ。


そしてソースをぬりぬり。一個だけ早まってクランチ付けちゃいました。いちごのソースには、ちゃんとイチゴの粒が入ってるんですよ!このこだわりに惚れます。

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じゃーん。全部で7個出来ました。これでも余った生地が少しあったぐらいだからもっと出来るのかも。お子様用に多めに入ってるんだと思います。スティンキーに代わりにドヤ顔してもらいました。

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試食ターイム。スティンキーもお気に入りのご様子。カスタードとココアの生地だけでなく、バニラやイチゴなどのソースにもしっかり香料で風味づけしているので、なかなかお味も楽しめます。そこまで手でこねくり回して作るわけではないので、あまり気になりませんでした。

以上!25歳にもなれば、知育もガチですよ!まだ作ってないけど、自宅にストックがあるので、反応があればまた記事にするかもしれないです。クラシエのこのシリーズは簡単に出来ていいです。おすすめ。そんなところっす。

『ラブド・ワンズ』桃色片想い♪

まず一言、面白かったー!5月に開催された「TRASH-UPLINK!! vol.8」で紹介されていたのがきっかけで、この作品を観ようと心に決めていたので、なんとかシアターN渋谷上映最終日に間に合ってよかったです。このタイミングでブログに感想を載せてもあまり有益ではないかもしれませんが、セル化を願ってしたためようじゃないですか。

物語は高校3年生の爽やか青年ブレント君がお父さんと和やかなドライブに出かけるところから始まります。二人は談笑しながら車を走らせるのですが、突如目の前に男が現れたことによりハンドル操作が狂い、木に激突。お父さんは亡くなってしまいます。以来ブレント君は心に傷を負い、自傷行為を繰り返すようになります。半年が過ぎた高校3年の卒業シーズン、ようやく心を開くことが出来るガールフレンドに出会い、なんとか立ち直りかけていました。そこでローラという地味な女の子から「プロムで私と一緒に踊らない?」と誘いを受けます。それが戦慄のパーティへの招待状だったのです。もっともブレント君は誘いを丁重に断るのですが・・・

非常によく出来たホラー・コメディでした。身動きが取れない状態になった主人公に対して振る舞われる、小公女ローラとその一番のファンであるダディの華麗なるサディスティック・メニューの数々。ターコイズブルー色の注射は声潰し、フォークで胸に刻むは王子様の烙印、いたずらをする可愛い足には釘を刺しましょうラララ。

悪魔のいけにえ』の狂宴シーンが大好きな私にはたまりませんでした。それに『プリティ・イン・ピンク』のヴィヴィッドなキュートさがプラスされたら、最強ですよね。『ミザリー』や『キャリー』といったルナティック乙女たちへの愛も詰まってます。ローラちゃんはピュアで真っ直ぐな女の子、ただちょっと愛情表現が人と違って不器用なだけ。そんな彼女を見守るダディこそが監督自身なのかもしれません。愛娘のためにあらゆる残虐な手を尽くすダディに胸が熱くなりました。バービーにはケンという恋人がいるのに、どうしてうちの娘に見合う男がいないんだ?という複雑な親心です。お父さんは心配性。泣けます。

同時進行で描かれるブレント君の友人とパンクス少女との恋模様?も、ほとんど本筋には関係してこないのですが、展開に緩急をつけて良い箸はさみになっています。一応ちゃんと絡んでますしね。さらに、ローラに捕まる前に、死に場所を探すように彷徨う主人公が、ロッククライミングをする場面も、一件自分の命を粗末に考えているようで、本当は生に執着しているということを表しており、その後のパーティでの攻防で見せるタフさに効いてくるあたりが良いです。また、宴にはブライト・アイズという痩せ衰えた母親も出てくるのですが、彼女の存在も控えめではあるものの、ローラの激しい嫉妬の対象として描かれており、複雑な乙女心を演出しています。

元々CMディレクターをしていたというショーン・バイルン監督はこれが長編デビューということですが、やっぱりCM撮ってた人は一つ一つの画面作りが丁寧でいいなと思います。特にラスト、くんずほぐれつのキャットファイトや、グッと引いた緊迫感あるロングショットなど見どころ満載。ローラちゃんが結婚式で流すと決めている曲のリフレインも良かった。最後の最後までプリンセス・ローラに圧倒されるラブリーな作品でした。

『ベルフラワー』こんな夜に放火できないなんて。

先週、渋谷で母親と『ベルフラワー』を観ました。

主人公のウッドローは『マッドマックス2』に登場する名悪役ヒューマンガス様に憧れ、この世の終焉を待ち侘びながら、友人エイデンと火炎放射器を作るボンクラニート男です。この映画は彼の、全くどうしょうもないハート・ブレイキン・ストーリーです。

ウッドローは、コオロギの早食いショーで対決した女の子ミリーにアッサリ敗北します。しかし、コオロギを貪る彼女の雄姿に恋をした彼はアプローチを仕掛けて、デートにこぎつけ、そのままテキサス旅行に。このあたりの、束の間の初々しい青春描写は、その後の破綻と合わせても劣化版『ブルー・バレンタイン』といったところ。夢見がちでうぶなロマンチックさを湛えており、少ないであろう予算から生み出されたことを考慮せずともよく出来ていると思いました。

しかし楽しい時間はいつも残酷なほどあっという間に終わるものです。ウッドローは次第に嫉妬を抑えきれず、早々に余裕の無さを露呈。挙句、彼女の浮気現場を目撃して、勝手に暴走、勝手に事故り、ストーリーはウッドローの狂乱妄想世界へと突入していきます。以下ネタバレしてると思うので自己責任でよろしくです。

事故で頭がイカれたのか妄想と現実が交錯していきます。その凝り過ぎ故の伝わりにくさはさておき、そもそもストーリーの原点に還れば、ウッドローとエイデンはヒューマンガス様への憧憬を胸にアポカリプスを夢見る見た目は野郎、心は14歳の少年という設定なんですよね。その割にはやることが小さ過ぎやしませんかね。彼女への報復も(せめて妄想の中でぐらい)滅茶苦茶にしてしまえばいいのに。火炎放射器があるじゃないか。発射出来ないお前の代わりに、火を噴いてくれるじゃないかと。あまりのフニャチンぶりにヒューマンガス様の名を穢すんじゃねぇ!と途中でキレそうになりました。後から母親と話していたら、同じことを思っていたようです。

でもこれが現代男子像なのでしょうか。ゼロ世代のアメリカ映画はナードが市民権を得て、一周回ってクールな存在であるかのように描かれることが多くなりました。それはそれで良いのですが、その終着点がまさか『ベルフラワー』なんてことないよなぁと不安にすら思います。アメリカはどこまで骨抜きで自分に甘くなったんだよと。そして女には手厳しい。ミリーは最初から『私はあなたを傷つける』って宣言してるのに、まるで詐欺にでも遭ったかのように振る舞うなんて情けないです。

でもどこかで私の中の「ダメ男人格」がエイデンみたいな傷口を舐めてくれる友達と、傷心の自分を慰めてくれるコートニーみたいな都合の良い女がいてくれたらなぁと思ってしまうんですよね。ブログのタイトルからもお分かり頂けるように、チキンなりのデストピア願望もありますし。だから嫌いになりきれない。もっと暴走して欲しかっただけ。せめてカッコつけて「第〇幕〜」というように場面を区切ったり、妄想と現実をごちゃまぜにしないでストレートに描けばマシなんじゃないかと思います。

自作の火炎放射器と、改造車「メデューサ号」だなんて、響きだけでも十分ダサカッコイイんですから。主人公が明らかに働いていないことからも言えるように、生活にリアル感がないのも感情移入しにくい原因かもしれないです。携帯電話も使ってないし、あえて現代的な要素を排除してるのかもしれないですけど。

この監督って、自分がフラれた経験を映画にしてるんですよね。よくこんな共感できない人間を主人公にして名刺代わりに出来るなぁと思います。そのタフさだけでも買おうと思いました。劇中の曲は良かったです。Why?とかRatatatとかとてもセンスの良い選曲でした。以上!

まさか段ボール顔のヒロインこそが監督のexだったとは・・・。

『先生を流産させる会』を観ました。

昨年のカナザワ映画祭にてどうして観なかったのだろうと思い続けて早10ヵ月。ようやく観ることが出来ました。当時、金沢にてご挨拶させて頂いたダイシックスさん(id:DieSixx)が絶賛されていましたからね。そりゃ観るしかないでしょうと。ええ。

タイトルの第一印象を過激と思わずに「面白そう」と反応してしまったあたり、ちょいと私は麻痺していたようですが、世間(?)は思った以上に敏感でしたね。同じようにギャップを感じた方もいるんじゃないでしょうか。一番の疑問は観てもないのにどうしてタイトルだけで作品を叩けるのだろうということですが。私の映画を観るうえでのポリシーは「金を払った作品については好き勝手文句を言ってもよし」ですので、まずは観てみないと始まらないわけです。でも心のどこかでワクワクしていました。映画は単なる娯楽ではなく、いつも時代を映し出し、問題定義をするという大切な役割がありますからね。こうこなくっちゃと。ましてや自主製作ですから。大変素晴らしい。とまぁ前置きはこの辺で。以下、無意識にネタバレしてるかもしれないのでご注意を。

担任のサワコ先生が妊娠して「気持ち悪い」から流産させようと5人の少女が立ち上がります。そして廃墟となったラブホテルで5人は誓いの儀式を行い、計画を実行させていきます。給食に薬品を混ぜたり、椅子のねじを緩めて転倒させたりしますが、サワコ先生は一歩も引きません。真っ向から彼女たちの純然たる嫌悪という感情に立ち向かいます。物語は、メンバーの親を巻き込みながらも、リーダー格の少女ミヅキとサワコ先生との激情のぶつかり合いにもつれこんでいくのですが、気が付けば私はミヅキの中に宿るモンスターの姿をした「女」に共鳴していました。「女は気持ち悪い生き物なの!」は名言として語られているような印象ですが、私はその直前のどうして気持ち悪いと思うのか問われたミヅキの放つ「知らん!」に反応。そう、どうして気持ち悪いのか知らんのです。私はその得体の知れない気持ち悪さとずっと戦い続けている大人になれない部分を抱えた仕様の無い25歳だからです。

出産シーンをさも神秘的に扱うテレビ番組、「お腹を痛めた」という恩着せがましい言葉、出産した途端に偉そうになるタレント・・・そして、その過程は結局セックスだという紛れもない事実。中学1年生まで、精子が空中を飛んでいて、結婚したら自動的に受胎すると思っていたことはここだけの秘密ですが、初めてそのプロセスを知った時、同じ登校班にいた男子を見て「あいつの母さん、トミーズ雅みたいな顔してるのに裸になってセックスしたからあいつが産まれたのか・・・」と訳も分からず落ち込んでいました。今思えば失礼な話ですが、当時は真剣でした。やたらと「生命」を美化するメディアに汚染されていたのかもしれません。ただ一つ言えるのは、生きることに必死だった時代にはこんな余計な雑念は存在しなかっただろうということです。

今も心にある、その寄る辺なき感情がようやくミヅキというモンスターの姿となって解放されたような気持ちになりました。そしてサワコ先生の終始「ダメなもんはダメ!」「気持ち悪いもんは気持ち悪い!」というスタンスは爽快ですらありましたし、必ずしも気持ち悪さが全て「女」という存在に集約されるわけではないと思いますが、理由なき説得力は演じた宮田さんの存在あってこそかもしれません。そしてバッサリと斬る「先生は安心したいだけだよ。」というミヅキの一言。ふぅ・・・。

でも同時に納得のいかなかったことは、少女たちの小動物に対する残虐性を関連付けようとしたところ。動物の死骸を弄んだり、笑ったり、そういう安易な残虐性の表現は不必要でした。そんなことをしないごく普通の子が、大人になることに恐怖し、嫌悪するのです。生物への無慈悲な冷酷さとは、全く別の感情ですからね。

内藤監督が男性という立場からタブーを描くパンクな姿勢は素晴らしいと思いました。短い時間の中でモンスターペアレントや、混迷する教育現場の描いた詰め込み方も良い。低音を叩きならす音楽も良かった。前作『牛乳王子』から言えることですが、タイトル込みで娯楽性が高いですね。『お兄ちゃんに近づくな、ブスども!』はどうなんでしょう。気になります。