カスによるカスの為のカス。

初体験

初体験

最近、昼夜逆転した生活がたたったのか、早くベッドに入っても眠れない。早くといっても、頑張って2時なんだけど、どうにかして眠りに就こうと思って部屋の電気を全部消した。それでもダメで、目を開けるたびに、ほっぺたを力いっぱい叩くという体罰を自分に課したけど、掌が痛くなっただけだった。(ちなみに私はMではない。私の右手がSなだけだ。)枕もとには携帯があったので、適当にいじっていたら、我ながら天才的な考えが閃いた。

クソみたいな携帯小説を読めばそのうち眠くなるに違いない!!

これが天才的かどうかという判断は読者様にゆだねるが、こういうわけで生まれて初めて携帯小説を読んでみる気になったのだ。読むにあたって、ゲーム好きの友人の勧めで「モバゲー」という巨大SNSで、先日有害サイトの規制対象にされると決まった携帯サイトに1年以上前にユーザー登録したことを思い出した。とはいっても、あまりゲームに興味もないし、面白半分に中学生のリアルな実名いじめの実態をこの目で確認したっきり放置だったのだけど、久々にアクセスしてみたところ、携帯小説の投稿サービスが人気なようだった。一番上に名前があった作品に目がとまったためクリックすると、サービスはだいぶ本格的に動いてるようで、どうやら講談社で出版化が決定しているらしい。

ひょっとしたらこれはカス…いやクソみたいな携帯小説じゃないかもしれない、と思いつつ読んでみた。読み始めたら…やっぱりカスだった。今まで携帯小説を読んだことがなかったが(携帯小説をもとにした本を電車で読んでる人を横目で見た限りクソだということは知っていた)、これほどまで腐っているとは思わなかった。

文学的な素養のかけらもない、稚拙な駄文がひたすら続く。浅い表現と、同じ言い回しの連続。オチは設定の時点で読める。230ページほどあるので、どれほどの長編大作なのかと思いきや一行につき台詞は2・3コ。文章は多くて10行あるだろうか。作者の親指が疲れるのか、読者の目が疲れるのを考慮したためか、それとも単にメール1通程度の短文しか創造出来ない能力しか持ち合わせてないのか、一文ずつがいやに短く、故に臨場感や情景描写は無に等しい。1ページ、短くて1秒で読める。(読むのが早い人は分かると思うけど、文章を目で追わず、私はカタマリで読むので…)数十ページ(はたしてこれをページとカウントして良いのかどうかは悩むが)は読んだ。印象に残らない駄文だったため、すでに記憶はあやふやだが。

とにかく次に驚いたのはレビューのページ。「泣いた」「泣けます」「初めて小説ょんだけど、まぢ泣けたぁ」「ハンカチのよぉいを!!」「命の尊さを知りましたァ」など、私が中学生だとしてもこれをレビューと呼ぶには恥ずかしい一文が大量にあった。「泣いた」と書いた無数のユーザー本当に泣いているとしたら、日本国民の涙線に何らかの寄生虫が発生し、涙線から体液を分泌するように仕向けているとか、花粉の大量発生がすでに猛威を奮っている(有力説)とか、そんな理由だろう。だいたい、初めて小説を読んだとされる人は、義務教育を受けていないのだろうか。それとも、小学校低学年の国語教科書に載っている(た?)「ごんぎつね」で号泣した幼い私が奇人だったのだろうか。(ちなみに今思い出しても泣ける)まぁ、少なくとも新美南吉の情緒溢れる素朴な美しい文体の方が巷に散乱するクソみたいな携帯小説より遙かに文学的に豊かであることは確かだ。(というか比べ物になりません、雲泥どころではありません。ごめんなさい新美先生。)

読了するのも時間の無駄、こんなカスみたいな小説を読んで、勿体ない体液を分泌してから、糖分を過剰に含んだ清涼飲料水で喉の渇きを癒しつつ、命の尊さを実感する少年少女が可哀想で仕方がない。

何よりこの程度のカス文学(ああ!)作品を商業資本と見なし、今や偽造騒ぎで大事な資源として見直されている紙を無駄にしてまで売ろうとする出版社の困窮具合に泣けてくる。一応出版するにあたって、それなりに立派なカバーを付け見た目では本屋に並べても恥ずかしくない代物になったと予想されるが、一旦開けば大幅にした加筆修正も虚しい出来であることは間違いない。編集者さん達は講談社に入社するまでに高学歴も虚しく、踏んだり蹴ったりな転職を繰り返し、大変な過程を辿っただろうに(勝手な想像)、こんなカスみたいな仕事ばかりまかされて気の毒だな。

にしても、本当にこのままでは日本の文学は衰退の一途を辿るとしか思えない。情けない思いが込み上げて、結局朝まで起きてしまったというお話でした。めでたくない、めでたくない。

♪今聴いてる曲♪
Golden AnimalsBig Red Rose
けっこ―好きっすね。今度このバンドについて書くかも。ちなみに今日は「です」「ます」調じゃないってのには理由はないけど、こういうのはどぉっすかね。