民営化の果てに。

今日から塾で春期講習なので、長時間勤務となっております。いつもは平日は実労働4時間くらいですが倍の8時間程働きます…しかも5連勤。でも、更新頻度を落とさない!!ってことで。でも、既にしんどいです。1日休んで、また連勤だし。そして晴れて大学3年生が始まります。春休みの最後を愛するバイト先につぎ込む、健気な労働力としての私。経費削減のために、搾取されているバイト学生とは知らずに、いじらしく授業に打ち込み、生徒の成長を見守る私。…チョベリバ。まぁ大変なのはお互い様、ということで。さて…

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

…を先日読了。
タイトル通り、ルポという形式で、極端に進んだ民営化のしわ寄せをくらい、追いやられている人々の姿を映し出しています。わずかな富裕層と、肥大化する貧困層とで二極化した凄惨なアメリカの現状は、日本が向かっている状態に限りなく近いように思え、決して他人事とは思えない。実際のインタビューを交えているため、客観的にアメリカ社会を経済的な観点から分析する以上のリアリティと危機感、そして(情緒を極力排除しているにも拘わらず)生々しさが随所にたちこめています。

印象的だったところは、増加する肥満児の原因が貧困だということ。昼夜働きづめの親は子どもに作る料理といっても、手軽で安いインスタント食品になってしまう。貧困ライン以下の家庭は配給されるクーポンやフードスタンプに依存しており、学校給食は大手ファーストフードチェーンピザハットマクドナルドが受注している。

 私の親戚の話をここですると、フロリダに住む姪っ子モーガンも、ほぼ毎日マックのチョコレート味のシェイクナゲットを食べており、それがないと1日が始まらないくらい。そろそろ中学生になる親戚のタイラーに『一番好きな食べ物は?』と訊いたところ、マックのバーガーとコーラがあれば何にもいらないよ、幸せ!!と屈託のない笑顔で返された時は、戦慄が走ったような思いでした。生野菜とか、食べたことないんじゃないのかな…今までの人生で。そのぐらい、食糧事情は酷いです。ちなみに、親戚は父親側の、下の上くらいの白人貧困層です。叔父はあまりに貧しいので、私の家族から借金してます。どうせ返ってこないけど。

医療保険がないため出産しても即日退院する人、白血病でも入院出来ない人、一度入院したものなら残ったものは請求書の山。医療機関を責めることはできない。彼らもまた生き残りをかけた新自由主義の戦いに飲み込まれている。戦争すら民営化され、政府の関与が薄まり、責任は誰にあるのか曖昧になっている。そんな戦争を続行するための兵士を確保すべく奔走するリクルーターの餌食となるのは、貧しい家庭の子供たちであり、彼らはのどから手が出るほど欲しい大学への学費を目的に騙されて戦地へ送られる。増加する不法移民も民営企業からすれば恰好の餌であり、市民権を与えられるという甘い文句に誘われて兵士なる…

本書を読んでも、推し進められた新自由主義によって、大企業が市場を独占する世界の今は終わりが見えない。全てが自己責任で片づけられ、中間層までもが転落していき、貧困の渦の中でもがき続けている。悲しいのはその世界を動かしているのも、貧困層であり堂々めぐりになってしまっているということ。そして、そんなアメリカに日本の未来が霞がかって見えること。つ―かもう片足突っ込んでるみたいな感じだけど。

著者である堤未果は、ジャーナリストだけど、HIV訴訟の元原告としても知られる参議院議員川田隆平氏と先日結婚していて、かなり立場的には政治に近い存在。そういうことも踏まえても、本書は日本の未来への警告だという意味合いを一層強めています。ちょっと資料の出所があいまいなところがあって気になるけど、その辺は新書の薄さでは仕方ないのかな。