搾乳、準備完了!!

ゆりかごを揺らす手 [DVD]

ゆりかごを揺らす手 [DVD]

恐いらしいと母が言うので、一緒に今日映画チャンネルで見てみました。見たことなかったっけな?と思ったのですが、見たことありませんでした。では、感想をば。「だ・である」調で許してちょんまげ。

妊娠をしている主人公の女性クレアが産婦人科診察中セクシャルハラスメントと取れる行為を受け、訴えを起こしたが、産婦人科医は自らをあやめてしまう。財産を奪われ、家も追われることになった彼の妻はストレスにより流産してしまう。全てを奪われた妻の逆恨みによる復讐劇が始まるという話。監督は近年ではエミネムの半生を元にした『8mile』などを監督して成功を収めている、カーティス・ハンソン。最新作の『ラッキー・ユー』は今時ポーカーを題材にしていて、ちょっとサブい感じだけど。

女の復讐劇というテーマは、上手くいけばすれば幽霊モノよりも怖いホラーを作れる。そして、この映画はかなり成功している方だと言って良い。復讐のためにクレア住み込みのベビーシッターとして働き、幼い長女と生まれて半年の息子に取り入り徐々に母親の座を奪っていこうとする女、ペイトンを演じているのはレベッカ・デモーネイ。貞淑な女よりは、明らかに性悪女の方が板についていて、これはまさに彼女の当たり役であり、事実もっとも商業的に成功した作品でもある。以降のキャリアはパッとしない。「ストレンジャー」では体も張ったのに…

生まれ3ヶ月の子どもが、その時点で母親ではない女性の母乳を飲むのかどうかは謎だが、女性からすればかなりグロテスクな手法で、夜な夜な赤ん坊の部屋に行くシーンはかなりおぞましい。派遣で家の柵造りをつとめる知的障害を持つ男性が出てきている段階で、この人物がクライマックスで絡まないわけがないという予感がプンプン臭うが、それまでに繰り広げられるペイトンの冷静な策略がどう転ぶか、幾通りにも予想を張り巡らせて、当たったり良い意味で裏切られたり、と楽しめる。

そして、いち早くペイトンの正体に気がつく女性マリーンを演じるジュリアン・ムーアは脇役でありながら、惹きつけられる力がある。この頃はまだ端に回ることが多かったけど、今じゃこの映画に出演する役者で主演張れる程のスターになったのは彼女くらい。レベッカ・デモーネイも落ち目だしね。私は好きなんですけど。この映画で見せる演技も、戦慄―!!

一般的に、復讐劇には復讐される側にもそれなりの非があることが多く、例えば「危険な情事」でも多くの人が『ダグラス〜いくらセッ*ス依存症やからって、グレン・クロースを浮気に抱くのはあかんて〜』と突っ込みを入れた人も大勢いるように。同様に『ゆりかごを〜』のペイトンの単なる逆恨みで、流産をしてしまったことには気の毒になるけど、その他に同情の余地もない狂った女ではあるが、ペイトンのろくな面識のない女性をベビーシッターにしたことは浅はかで間抜けとしか言いようがない。

更にペイトンは、クレアの喘息持ちで、精神が不安定になるとすぐに呼吸が出来なくなる体質を責めたが、むしろ生まれて3か月の赤ん坊放置で温室で園芸することに夢中な女性であることの方が母親としてよっぽど問題だ。専業主婦のクレアがベビーシッターを雇う理由を作るにはそれぐらいしかなかったのだろうけど。もう少し、ペイトンサイドの感情を描けば、いれば深みが増し、ラストの呆気なさを回避できたはず。悪は成敗されて当然なのかもしれないけど。

ただクライマックスのサイコ的展開は、想定出来るとはいえエンターテイメント的に十分に楽しめる範囲。おばけじゃ震えない人は是非。