一番の詐欺被害者は観客

一応、今日は春休み最後の水曜日ということで…春休み最後のレディースデーということで…映画を観ることにしました。とはいっても、地元の死ねプレックスは完全に腐りきっていて、上映しない作品の広告を並べたり、2週間たっても放映作品にほとんど変化がなかったり、数年前まであった『ミニシアター系2週間限定ロードショー』という美味しいプチ企画を設ける予算も尽きて、経営にガタがきているのもミエミエの状態。かといって観たい作品を考えると、横浜越えて渋谷のユーロスペースまで行かないと到底腹も満たされないときた。

困り果てた挙句、観た映画は『映画 クロサギ』…先に言っておきます、観なきゃ良かった。1000円は勿体ない。何で観たかって言うのは…もうやけっぱちって感じですかね。時間帯的にもそれ以外になくて。

ドラマは珍しく母親も気に入っていて、一緒に毎週見ていた。私も単純なエンターテイメント作品として(あまりに荒唐無稽な詐欺師を詐欺する手口に突っ込みを入れたくもなったけど)それなりに楽しんでいたと思う。ただそれは漫画の方がきっと面白いんだろうな、という興味をそそられたりする程度。例えTBSのドラマ年間視聴率トップだったとしても、絶対映画化は成功しないという確信は持てるものだった。

まず出だしのシェイクスピアの引用には思わず吹きそうになった。さらに全編通して「ジュリアス・シーザー」のシーザーブルータスの関係を騙し騙される詐欺師同士の関係になぞらえているんだろうけど、しつこく繰り返されて、イマドキこんな野暮ったい演出があるんだろうかと我慢の限界だった。

詐欺師を演じた竹中直人は相変わらず大げさな演技で、何を演じても竹中直人に変わりない。いい加減、彼に頼る日本映画界をどうにかしてほしい。彼の詐欺の手口も予想をはるかに下回る捻りのカケラもない子供だましに過ぎず、誰が真の黒幕だのはどうでも良いからとっとと先に進んでくれよ、と嘆きたくなるテンポの遅さ笑福亭鶴瓶が絡んでくる辺りは説明不足にも程があり、カットしてもなんら問題ない。アイドルの山下智久演じる主人公黒崎のアップが多いのはともかく、いちいちカットが長く、ドラマがスペシャルかなんかで無駄に2時間に引き延ばされたものと何ら変わらないクォリティの低さ。

監督はドラマ界出身の石井康晴で、今作が初めて手がける映画らしいが、いくら腕試しだからと言って、ジャニーズ好きの少女だけが観客じゃないことも考慮して欲しい(マイノリティだとしても)。黒崎の詐欺方法として、幾通りものキャラクターを詐欺師として演じ、相手の詐欺師を騙すのだが、まぁ百変化とはいかないものの、ドラマのレベルでは耐えうる演技力で演じわけていた。だが、まだ到底映画で主演を張れる俳優じゃない。大スクリーンで薄っぺらさが際立って、脇を固める山崎努などの俳優陣の努力も虚しく映画の格を一層下げていた。

時代遅れなキザったらしい脚本はドラマ同様だが、問題は手っ取り早く片づけるはずの詐欺事件を終わらせて、ドラマでおざなりになった黒崎の心の問題や、氷柱との関係なんじゃないだろうか。だってせっかく可愛い堀北真希が出ているんだし、彼女がほとんど絡まないのは、誠に残念極まりない。ただ、それを不可能にしているのは「映画」だから。

そもそも連続ドラマをわざわざ映画化する意義は何なんだって話で。ドラマはドラマで良い意味で完結しているため、観客が何を期待して映画館まで足を運ぶかというのが、作り手として難題になると思う。でも、やっぱりこの程度のドラマでは、映画を観るのはとにかく雨に濡れる山下智久が拝めれば満足!!という人も含めてドラマを観ていた人がメインだろう。だったらいっそ、プロ(批評家など)に対して不親切でも、ドラマを引きずって良いはず。そこは原作と異なってもいいんじゃないかな。だって映画なんだし。

なんにせよ、退屈で、ラストは馬鹿にされているような気持になった。哀川翔ヒロポンやってるみたいな笑い声だし、大地真央リフトアップに頼らず、素直に年齢を受け入れるべきだろう。

蛇足だけど、この映画に出演している飯島直子の娘役吉田里琴ちゃんは現在放送中のTBS昼ドラ『みこん六姉妹2』に出演していて、このドラマでの演技がかなり上手い。大人を食う存在感だし、可愛いし、実は結構期待してたりします。