『ラストフレンズ』やさしい嘘

ドラマ『ラストフレンズ』が木曜に最終回を迎えました。視聴率も徐々に上がり続け、最終回は22%と10時台にしてはなかなかの結果を残しました…が、その内容は回を増すごとに退屈に、凡庸になっていきました。この程度で過激という日本のドラマ界はぬるま湯も同然。今までロクにドラマを見てこなかったけど、これにはガツカリ。

結局DVや性同一性障害、不倫と言った要素を何一つ生かし切れず、ただのキーワード止まりでした。過激なのは扱うキーワードとそれを演じるのがアイドル的な俳優たちであるというだけ。長澤まさみの低い演技力は不愉快であるにしても、他はなかなか。

DVにしても、2人の関係は宗佑の一方的な暴力ではなく、美知留もズルズルと彼から離れることが出来ない共依存型のDVであるのは良いが、その設定から長澤の演技がかなりネックになっていたような気も。ただ殴られるだけならまだマシに見えたかもしれない。いっそ『イナフ』のジェニロペの如く護身術を身につけ、マッチョになったまさみがレイパー錦戸をボコボコにする展開なら笑えたのに。

と悪い冗談はさておき、瑠可のキャラクターがきちんと確立していないのも問題。ビアンだか性同一性障害だか分かりにくい上に(ドラマ上ハッキリとした線引きもしてないが)、(どうやら設定が性別違和症候群と変更されている)そうであることを医者との会話だけで描くのは、投げやり過ぎるだろう。上野樹里がどうたらというわけじゃなく、彼女は多分言われた仕事をキチンとこなしながら、頭の中でも模索してたんだろうと推測。

瑛太の役どころも必要性を感じない。セックス恐怖症を中途半端に描くぐらいなら、いっそゲイという設定にして、他のキャラクターを客観視する役(視聴者の立場)にしたほうがまとまりは良いのでは。エリとオグリンに至ってはノーコメント。他でやってくださいって感じのグダグダ不倫コント。記憶がほとんどない上に、これじゃ水川あさみとやましげの無駄遣いってヤツ。

最終回は、モトクロスの選手なのに瑠可はバイクでタケルの後ろにまたがり、不必要な事故を起こす。あまり若者の成長が見られないまま、出産というイベントで済まされてしまったのが、残念。欲張りすぎた結果、散漫になってしまったといえる。

しかし、友情の危うさを描いているという点に限っては脚本はなかなか自然。お互いに「やさしい嘘」をつき、それは相手に対する思いやりであると同時に自己防衛でもある。瑠可の想いを知った美知留は自分からも瑠可からも逃げる。最後まで精神的に激しくぶつかり合うことはない、友情がいかにも現代的と言えばそうか。

ジンメル・つながりの哲学 (NHKブックス)

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ちなみに毎日バイトから帰るのが10時半なので、いつもラストフレンズは後半30分しか観てませんでした。これと言って観賞に問題もなかったので、無駄なシーンが多かったということで解釈。