カメレオンは四肢動物で一番寿命が短いらしいよ

ホット・ファズ』の感想も書きたいんだが、『元ネタ知らなくても十分に楽しめる!!!!』と世論に流されたような意味の分からないべた褒めのレビューをネットで多々見かけて、少々辟易としているのでお預けにするかもしれない。容赦ないグロ描写とか、随所に見られるチャック・ノリスオマージュだとか、まさかの『ウィッカーマン』や『オーメン』だとか、ティモシー・ダルトンの頑張りだとか、面白い点をあげれば切りがないけれど、トータルで観ると全体の段取りの悪さやコロコロ切り替わるせわしなさが鼻につき、もっとスマートに出来ないんだろうかと思ってしまった。映画愛が強すぎると、編集段階になって支障をきたすんだろうか。ただクライマックスにかけてアクション(個人的にはスーパーが好き)は文句なしに必見の大バトルなので、後味は良い。英国連邦的なダークな笑いは好きなので、大爆笑を期待して肩透かしを食らった観客の多さを想像してみたり。ただ、急遽一緒に観ることになった友達は微妙だったようです。ごめんね!

結局しっかり感想を書いてしまった気もするけど、本題の『カメレオン』に移りたいと思う。

新作の『闇の子供たち』の公開が待ちきれない阪本順治監督作品。『探偵物語』の脚本家である丸山昇一松田優作のために書いたとされる脚本を藤原竜也を主演に迎えて映画化したものなだけに、ハードボイルドさはだいぶカットされているもののなかなか楽しめた。試写会では女性客がほとんどで、反応もいまいちだったようだけど、そりゃそうだと言うしかない。これは男の美学を描いた映画だ。逆を言えば、作品がそこに徹するほどにリアリティにこだわることが愚かだと言っても良いのかもしれない。

ゴーロ(藤原竜也)とヒロインの圭子(水川あさみ)の出会いも最近滅多に観ないような、時間が経っても詳細に思い出せるようなインパクトと切れの良さがある。導入からして、『惹かれる』か『引く』かの分かれどころ。ゴーロと公介(塩谷瞬)が共に生活する谷啓加藤治子犬塚弘らが演じるチンドン屋の高齢者たちとの社会から隔離されたような暮らしぶりが、塩辛いような味わい深さがある。事実をいとも簡単に揉み消そうとする高級官僚と巨大組織に立ち向かうという無謀すぎる構図も良い。

見所はなんといってもCG・ワイヤー抜きのアクションシーンに尽きる。と聞くと、トニー・ジャーが浮かんでしまうかもしれないけど、まったくの別物である(笑) 無駄な動きを排した効率性重視のワイヤーアクションなんてクソ喰らえだ。一瞬、どちらが優勢かすらも判別が難しい手に汗がリアルに滲んでくる戦いが本物だ。本当の計算高さとは、排除することではない、と脱帽。公介の取った行動のあと、彼の名前を呼びながらも振り返ることなく去るゴーロの覚悟たるや、男同士の暗黙の了解とはこのこと。

水川あさみ東映女優らしいキリッとした美人顔と、滑稽さすら漂う世捨て人ぶりがステキだった。ロングショットで背中しか写さないキスシーンも渋く、それでいて濃厚さも、十分伝わる良いシーンだ。きっとタバコの香りがするんだろう、と思ったら実際は「ストロベリー・ショートケーキですね」という夢のない藤原の後日談。

そんな余談はさておき、くのいちのような刺客やら一対一のタイマンガンファイトなどクライマックスも見所満載。現実を超越したありえない部分は、目を瞑るにしても最後の最後だけが納得できなかった。ゾンビ?あと藤原竜也が童顔じゃなかったら、もっといいのにね。昭和よろしく『すかんぴん』や『あんちょこ』『ぺーぺー』などの俗語をそのまま使っているのが大変好感もてた。(私が言うのもアレだけど、若い人は分かるのか?)