『セックス・アンド・ザ・シティ』エイダンを失った代償はデカイ。

すっかり忘れてしまった『セックス・アンド・ザ・シティ』の映画版の感想でも。8月に観たので、記憶を辿り辿って書くので、サックリ行きます。

ドラマを観賞していなければ到底楽しめない作品になっているのだろうなと期待していたんだけど、ドラマ観てなくても楽しめるんですよという狙いが大きく支障をきたしてしまったのがまず残念。

キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)が遂にビッグ(クリス・ノス)と結婚をするというビッグイベントを用意。キャリーはVOGUE誌の特集記事を組まれるまでにセレブな存在になっているのだが、それは彼女が浮世離れしたファッションアイコンというだけでなく、ドラマを観ていれば彼女がかつてVOGUE誌のライターを務めていたエピソードが思い出され、それほどの驚きでもなかったりする。キャリーは浮かれに浮かれまくり、ビッグと結婚するという儀式以上に、煌びやかでたくさんの招待客に見守られながらドレスに身を包む自分ばかりを妄想していたキャリーは結婚にニ度失敗しているビッグの不安な気持ちに気付かず、式当日にビッグに結婚式をドタキャンされてしまう。

大勢の招待客の前で恥をかかせられてしまったことのショックから、ほとんど廃人と化してしまったキャリーを励ますためにサマンサ(キム・キャトラル)、ミランダ(シンシア・ニクソン)、そしてシャーロット(クリスティン・デイビス)の3人はキャリーを連れてメキシコへ飛び立つ。映画らしいゴージャスな演出だが、キャリーの40歳らしいボロボロぶりに鳥肌が立ちそうになった*1。スッピンといってもナチュラルメイクで致命的な欠点を消すのが一般的だが、これはサラの体当たり演技であるといいたいし、それだけリアルな女向けの映画ということだ。

しかし、シャーロットの"メキシコ食品はアブナイ説"は正直サブイ。メキシコのセレブ向けの観光地はサービスの水準も非常に高く、何もスラム街じゃあるまいし安全性を疑う必要は皆無だ。むしろ彼女が唯一口にしていたニューヨークで作られているチョコレートプリンの方が怪しいくらいだ。これもいかにもお嬢様育ちらしい彼女の行動だが、映画だけを観てしまっては尚更不愉快に感じる人がいそうだ。

落ち込んだキャリーに笑顔を取り戻すことに何とか成功した3人はニューヨークに戻る。もっともサマンサはスミスという俳優の敏腕マネージャーとしてロサンゼルスに住居を移しているので別だが。そんなサマンサは相変わらず観ていて気持ちが良い。過激なセックスライフを送っていた彼女だが、実は誰より女らしい一面を持っている姉御で、キム・キャトラルの熱演もあって人気の高いキャラクターだ。それだけにスミスに一夫一妻制を貫き、欲望を我慢したりしている姿は健気でかわいらしいものがあるが、彼女『らしく』ないのである。そんな彼女の最終的に出す結論はスバラシ―し、彼女でなかったら最悪な女になってるというスレスレに挑んでいる。

で、私が一番好きなミランダ。スティーブとの間に(事故だったが)妊娠をし、結果的にヨリが戻って円満な生活を送っていた彼女はスティーブの裏切りにあってしまう。性生活をおろそかにしたことが招いたわけだが、一度でも浮気*2をした彼を許せないミランダは別居生活を送ることにする。頑固な態度は、キャリアウーマンで誰より対等性と重要視する彼女のプライドの大きさの表れでもある。

ミランダはスティーブを許せない。キャリーはビッグを許せない。その許さない期間があまりにも長い。これが正直いってキツイ。2時間も引っ張るほどではない。さらに映画では季節がめぐってたりして、どれだけ長い間悩んでんだって思う。男たちは繰り返し許しを請う。これだけ待てる男が2人もいるんだから、やはり映画だなと非現実的さを感じるか感じないかで、アナタの恋愛偏差値が測れますよって言われたらどうだろう。(沈黙)

SATCの魅力は、彼女たちが何度も過ちを犯し、反省し、成長していくところにある。4人は性格はバラバラだが、理想的な友人とはお互いの欠点を的確に批判してくれる存在である。視聴者はシャーロットの意見に頷けると思ったら、ミランダに批判され、サマンサに笑われたりするので、自分を客観的に見直すきっかけを与えてくれるドラマだ。NYという多くの人の憧れである都市を舞台に最新ファッション事情やクラブシーンなど、ほどよい夢を見せながら、女性にありがちな恋愛あるあるネタを盛り込み、結局どこにいたって同じなんですよという親近感があるわけだ。

まぁ私はファッションとかあんまり興味ないんだけど…。映画では、名だたるブランドのウェディングドレスを着まくって決めポーズしまくるキャリーを観てると、もうちょっと美人だったら良かったのに、とかビジュアル的な難点も目に付く。

さらに一番気に入らないのは、キャリーがビッグのことを責めることだ。てめ―エイダンに何したか覚えてんのか!!

私は断然、エイダン派である。エイダンはドラマでキャリーと婚約までした男だ。最初は腹も出てたし髪形ダサいし、いもくせぇ男だったのだがキャリーがビッグと浮気をして別れてから、いい男に変身した。そしてキャリーから復縁を望んで、やけぼっくいに火がつき婚約までこじつけたのだが、生活や価値観の不一致からキャリーが『らしさ』を失うこと、現状を変えることにおじけづき別れたキャラクターである。まぁ典型的な『女心はいまいち分かってないけど、とりあえずめっぽー優しい』タイプ。

エイダンのような優しい男を、ビッグと浮気しても許してくれた男を、指輪のデザインで婚約しておきながらやっぱり無理、と別れたエピソードに納得のいかなかった者としては、キャリーがビッグに結婚式ドタキャンされて落ち込みまくっているのに苛立つ。要は、ワタシはキャリーがあまり好きではないということだな。他にもそういう人いるでしょう。そういう人は他のキャラクターに注目すれば良いということか。逆を言えばドラマを観ていない人は、キャリーの嫌な一面も知らずに楽しめるのかもしれない。

事実、私もミランダとスティーブの復縁に泣けてしまったりするので、キャリーのことが途中でどうでもよくなってしまったからね…。シャーロットはシャーロットで、これといった大事件はないものの、ハプニング担当というか、彼女らしく重要な役割を果たしている。ドラマを観ていれば彼女の平坦ではない道のりを思い出して感慨深くなったり。

ドラマのノリでこういう終わりになっていたら良かったかもしれない。これでは映画だけを観る人には共感のしにくい派手なセレブライフになってしまうし、ドラマを観ている側にはその魅力を出し切れていない作品になってしまっている。SATCにおける『らしさ』の追求と正直さには限度があるので、夢物語に過ぎないのね、といきなり冷める瞬間があるが、それでもアラフォーだのいって結局"結婚すると女は変わるもんよ、女の幸せってもんよ"といって片付けがちなドラマよりは評価出来るのは間違いない。それにキム姉さんを筆頭に彼女たちのボディライン維持には感動すら覚えます。あと尺の長さも考えて殆ど記憶に残らないジェニファー・ハドソンの存在は不要とみなす。

全然サックリ済ませられなかった。すんまへん。

*1:本当に特殊メイク級のボロボロ!!

*2:浮ついたのが気持ちじゃなくて下半身でも浮気っていうのかね?浮体?