ダセェ邦題『僕らのミライへ逆回転』<原題『Be Kind Rewind』

すっかり感想を書き忘れてしまってたんだけど、そうこうしているうちに公開日が差し迫っているんで、早いとこ片づけないとすっきりしない。ここいらで記憶を巻き戻してまとめたいと思う。

ストーリー(手抜き引用)

街角の古めかしいレンタルビデオ店で働くマイク(モス・デフ)は、旅に出た店長のフレッチャー(ダニー・グローヴァー)から店を任されて大張り切り。しかし発電所で強い電磁波を浴び、体が磁気化してしまった友人ジェリー(ジャック・ブラック)のせいで、店内の全ビデオの中身が消去されてしまう事態が発生する。

シネマトゥデイhttp://cinematoday.jp/movie/T0006478

監督は『エターナル・サンシャイン』で知られるミシェル・ゴンドリー。『エターナル・サンシャイン』は私的にお気に入りの作品で、何回か観ているけれど、その度に涙が出る。でも、一体どこで泣いたのか明確なシーンが思い出せなくて、とにかく突然涙が出たりする。気がついたらポロッと。それだけ視覚的な凝った演出に頼ってない、脚本の優れた作品だってことだと思ってる。だから胸がいっぱいになっていく。そりゃゴンドリーの演出も素晴らしいけど、やっぱりチャーリー・カウフマンの脚本が良かったんだ。私は『ヒューマン・ネイチュア』も好きだし。だから『恋愛睡眠のすすめ』といい、ゴンドリーが脚本まで書いてしまうのはあまり望ましくない。

まず発電所に忍び込んで、電磁波を浴びて、レンタルビデオ店まるごとビデオの中身が消去なんて発想があまりにとっぴでファンタジックでゴンドリーらしい。主演のジャック・ブラックも、ゴンドリー作品ということで下ネタでウケを狙わないので、変に滑らず安心。ちなみに電磁波と放射線を勘違いして*1、『HIROSHIMA』と書かれた本を読んでいるのには吹いた。細かいよね。

ビデオの中身が消えてしまったものの、お得意さんを逃すわけにもいかないので手作りでビデオをリメイクし始めた二人。そんなリメイクビデオのことを『スウェーデンから輸入しているから』と嘘をついたことで『スウェーデッド』という手作りリメイク映画を指す造語が出来たりしたらしい。

そんなのがYoutubeで流行ってるとかいう話はどうでも良いとして、そんなチープなビデオを必死で作っているのが笑えて、さらにそのビデオが大評判になり、お客が殺到し、みんながみんな真剣なので事態はますますおかしくなっていく。本人たちは至って真面目にやってるので笑っているのは観客だけだ。

正直半月前に観たうえに、九段会館という最悪な劇場のせいで画面の半分が前に座っていた観客の頭で遮られていたので、記憶も曖昧なのだけど、リメイクされた作品は『ゴーストバスターズ』『ロボコップ』など、小学校低学年の私を夢中にさせた映画で、これは確実に元ネタを知っていたほうが良い。『元ネタを知らなくても楽しめる』という馬鹿なことをいう連中がいるけど、そんなの元ネタ知ってる場合の3割も楽しめるかどうかだ。『ホット・ファズ』と同じだよ。とりあえず『ゴースト・バスターズ』のマシュマロマンが私的に一番笑ったかも。『シェルブールの雨傘』が違和感たっぷりに混じってるのは監督の故郷への思い入れなのか。元ネタあっての作品なだけに、リメイク許可した監督たちにも拍手したい。ちなみにロバート・ゼメキスは許可しなかったらしい。ちっせぇ男。

まぁしかし手作りっぽさを上手く演出するのは監督の得意とするところであるし、それは彼の卓越したビジュアルセンスによって安っぽさの向こう側へ飛び越えていくのだけど、やはり着地に問題がある。

レンタルビデオ店はいつまで経ってもVHSで、ダニー・グローバー演じる店長はライバル店を偵察するが、当然主流はDVD。それでも店を潰すまいとする背景には、一人の伝説のジャズシンガーが関係しているんだけどやはりここが最大の難点になってしまっている。最後の盛り上げとして、このジャズシンガーのオリジナル映画を作って上映会を開くのだけど、このレンタルビデオ店やキャラクターたちの背景が薄っぺらいので、ぬるまったい感動で締めくくられてしまうので、気に入らない。あの湿っぽさが不気味というか。得体の知れないジャズ・シンガーの話を引っ張り出しても、いまいちノレないのね。邪推なのかもしれないが、あの上映会のシーンが『ニュー・シネマ・パラダイス』への風刺なのだと考えると、意図は分かるが、やっぱり弱い。『ニュー・シネマ・パラダイス』のラストは卑怯だと思いながら、懲りずに泣いてしまう自分がいるから。

手作りリメイクという着想は面白いし、遊び心に溢れた小ネタも再度見直したいぐらいだし、CGに頼りきった昨今の映画へのアンチテーゼというか嫌味たっぷりなところも大歓迎だ。ものづくりの楽しさや、想像力が持つ可能性(映画は観る側がいて初めて完成するみたいな)を信じる監督の映画愛も伝わってくる。でも、ほら、脚本は誰かに手伝ってもらおうね。

それでも、中盤は確実に楽しめるので一見の価値は有!でもね―ほんとスクリーン半分で観てたもんとしては、そういう意味でも不満足。DVD(あ…)で見たい。

  • 関連リンク

・公式サイト【http://www.gyakukaiten.jp/
YoutubeのBe Kind Rewindチャンネル【http://jp.youtube.com/user/BeKindMovie
・段ボールで『2001年宇宙の旅』をリメイクできるか?-ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20080105

追記:下書きを少しずつ加筆したのでめちゃくちゃだな…ちなみに今日は『アイアンマン』を観賞。なかなか面白かった―っ。良いね、チョイ悪。感想は後ほど。

*1:本人は『電磁波と放射線は違う』と分かりきったつもりでね。