フィンガーボールのお水を飲めば家族仲良し理論

映画になかなか行けないので(経済的にも厳しくて)最近の楽しみといえばもっぱら『非婚同盟』です。以前の『安宅家の人々』のようにブログで回を追ってコメントしていきたいのですが、昼ドラ至上でも類を見ないほどトンデモな展開と満載の突っ込みどころが私の許容範囲をはるかに越えてメーター振り切れてます。とてつもないです、このドラマ。その中でも最近とりわけ感動したのはお父さんが他界したシーンです。

軽く非婚同盟について説明しておきますと、父親は正妻と愛人を同じ敷地に住まわせていたため複雑な環境で育った主人公・由起子(正妻の子)は大人になって親友の小百合(愛人と元夫の子)と和子と共に「結婚は女を幸せにしない」をモットーに『非婚の誓い』をします。これが非婚同盟、誕生の瞬間。しかしなぜか非婚を貫くほどに男は彼女たちに魅了されていき、彼女たちもまた周囲に翻弄されてしまうのです。

なんだかんだいってやっぱり結婚はしたいよね、と強がっていた女たちの本音が露になり「婚活」という言葉が流行り始めた昨今、まさに時代に逆行したドラマになるかどうか、やはり『非婚の誓いは最終的にどうなるのか』が焦点になります。本当の幸せのあり方というものを私たちに今一度教えてくれる、そんな素晴らしい…ド、ラマ…な、ん、ですけど…うん…正直、どんな番組よりも面白いです。いや、ツッ込んで笑えるというレベルをイシンバエワの如く飛び越えて、感動の極地に誘う魔力があります。

あまりにも語れることが多いので、今回は先週亡くなられたお父さんだけに告別がてらスポットライトを当てようと思います。お父さんは全ての元凶といっても過言ではありません。お父さんを演じているのは元モデルのハンサム風間トオル。製鋼会社の社長で女癖が非常に悪く、下品な冗談ばかり言っています。正妻*1を演じていたのはいとうまいこ、愛人は三原じゅん子なので、なんだか同窓会のような顔ぶれも面白いですね。そんなお父さん、女は「夜のテクニック」だけで繋ぎとめられると思っていたような人なのに、脳血栓で倒れて以来左半身が麻痺してしまい、男性としての機能も失ってしまいます。それからというもの会社に行くのも週二回になり、暇なときは紙芝居屋の周三とカラオケ三昧の日々。

ストーリーとは全く関係ない流れで、唐突にカラオケを歌い始めるのですが、これがほぼ毎回ありました。多くて一話に二回カラオケ。さらに風間トオルの年齢と風貌で語尾が『〜じゃのう』です。まだハツラツとした中年というイメージなのに、村山首相じゃないんだから。そんなお父さん、家に押しかけたマスコミを怒鳴りつけたときにクラッと倒れてそのまま意識も虚ろなまま病院で息を引き取ってしまいます。

重要な登場人物が死ぬときには、決まって「回想シーン」がありますね。涙腺を刺激しようとする見え透いた魂胆に気付きながら、目を潤ませてしまいがちです。ではお父さんが天に召されたときはどうだったかと言いますと「家族全員に強制的にフィンガーボールの水を飲ませるシーン」でした。由起子たちは顔をしかめながら渋々飲み、まだ幼い震五郎*2は「おいしいね!お父さん!」と声を張り上げます。しかしフィンガーボールの水を飲まされた家族は全員暗い顔。そんな家族を見て満足げに大笑いするお父さん、その場面だけが回想シーンとして流れたのです。喪服姿ですすり泣く主人公たちですが、回想シーンでそりゃねーだろ!というのがコチラの本音でした。

一応舞台設定は1980年代後半なのですが、恐らくコスト的な問題なのでしょう、時代考証が滅茶苦茶です。先日鑑賞した『チェンジリング』は台詞や衣装、セットの細かい部分に至るまでの完璧な時代考証が文句なしの世界観を作り上げていましたが、非婚同盟諦めたようです。バブル時期にもかかわらず、ファッションは現代のまま。アメリカでフェミニズム運動*3が起きているのはともかく、台詞に「コギャル」が出てきてしまいました。もう何がなんだか。

途中から見始めても十分に楽しめると思うので、終了まで残り一ヶ月をきった『非婚同盟』。今から見ても遅くはありません。とりあえずストーリーについていくのには限界がありますが、その狂った世界には一瞬で汚染されること間違いなしです。ちなみに「男は結婚することで、セックスで女を隷属させる」と極端な異常思考を持っていた由起子たちですが、既に非婚同盟は解散しています。そういうわけで。

補足:同盟は解散しても、非婚は貫いています。由起子は『非婚同盟』という本を出版して、非婚大ブームを起こし、非婚の教祖になります。一応付け足しといた。今日(3/10)は説明会の帰りに携帯のワンセグで見ちゃったよ!ワンセグで人生バラ色の予感…

♪今聴いている曲♪
Young LoveBlack Boots
新曲。気がつけばそんな時期。

*1:身勝手なドスケベ夫に振り回された結果、幼い由起子に「決して結婚しないと約束して」と言い残して死にます。

*2:お父さんと愛人の間に生まれた子。子どもの頃は声が無駄にでかくてカワイイのですが、成長すると見苦しい体育会系の青年になります。強烈なキャラクターのひとり。名前の由来は生まれたときに震度5の地震があったからw

*3:ポスト・フェミニズムになるのかな。