歌舞伎『鳴神』

会社でも「口は災いの元」を地で行くしゃもじです、こんにちは。土日も最近はのんびり過ごすことは少なく昨日は歌舞伎を観に国立劇場まで行ってきました。演目は歌舞伎十八番の『鳴神』。初心者向きの歌舞伎だったので、連れて行ったフランス人留学生だけでなく私にも丁度良かったです。最初に30分間ほど(時計見てなかったのでよく分かりませんが)澤村宗之助が、歌舞伎の音楽、効果音、ストーリー、用語などについて懇切丁寧な説明をしてくれるので、スッとその後のストーリーに入り込めます。あんまりにも丁寧過ぎるんじゃないかというくらいですが、高校生の団体客も多かったので、これくらいざっくばらんにクダけた感じだと、歌舞伎の敷居の高さがググッと低くなりますね。伝統芸能も、時代に応じて工夫を重ねながら続いていくのだなと。

ストーリーも面白かったです。鳴神上人(片岡愛之助)が雨を降らす竜神を滝壺に封じ込めてしまったため、村は日照り続きの状態で苦しめられています。そして厳格な鳴神上人(もともと悪いやつじゃない感じ)は日々その滝のそばで修行を重ねているところから話が始まるのですが、弟子の二人、白雲坊と黒雲坊の軽妙で間抜けなキャラクターが一層鳴神上人の厳しい性格を引き立てています。しかし女人禁制の修行場に突如現れた美女・雲絶間姫(片岡孝太郎)の誘惑により、鳴神上人はすっかり骨抜きになってしまうのです。みるみるうちに雲絶間姫の言いなりになってく姿が面白い。男はみんなおっぱい聖人なのさ。

しかし雲絶間姫は竜神を解き放つために送られた女スパイ。お酒に酔った鳴神上人(意外にめっちゃ下戸)の隙を突いて、竜神を解放することに成功するのです。このセットでチラッと現れた竜神のぬいぐるみっぽさには驚きました。いっそシルエットとかで良いんじゃないかというくらい、しょっぱい感じ。これって歌舞伎の良さなの?とにかく、騙されたことに気が付いた鳴神上人は、怒り狂います。絶間姫との柔らかく笑いを誘う話の掛け合いから、場面は一転、荒事を見せ付けてくれました。カッコイイ。「ぶっかえり」という瞬時の衣装替えによって燃え盛る炎を表現していました。

でも怒り狂ってそのまま捌けていき、終わりというぶっとんだ展開にはフランス留学生ならずともポカンと一瞬なりましたが、その後のストーリーを自由に考えてみるのも面白いのかもしれません。なんとなく私が思った感じだと、鳴神上人はそのまま鬼かなんかに姿を変えてしまうんじゃないかと。そう考えると、途端に切なくなりますね。というわけで、なかなか良かったです。