『ブラザー・ハート』

観た映画の簡易メモです。ネタバレ必至。

ブラザー・ハート [DVD]

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冒頭、主人公ウィル(クライブ・オーウェン)が死んだ何者かを回想するシーンから導入。
安いドラッグを小金持ちに売りさばくチャラ男デイビー(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、いつものようにチャラチャラとリア充していた後にいきなり時計仕掛けのオレンジ野郎、またの名をマルコム・マクダウェルにレイプされる。そのショックから風呂場で12時間ほど浸かってアナルがふやけた頃に自殺してしまうジョナサンは、こういう役をやらせたらピカイチの哀れさ。殺人者としての過去を捨てるために隠遁生活を続けていたウィルは、久しぶりに町に戻ってきて弟のデイビーが自殺をしたことを知り、弟がなぜ自殺したのか真相を突き止めようとする。誰からも愛される弟がレイプされたショックと復讐心、人殺しとしての過去を捨てきれぬジレンマを抱える役をクライブ・オーウェンは殆ど無表情の中に複雑な感情を織り交ぜるストイックな演技をみせる。

原題は『I'll Sleep When I'm Dead』。ボン・ジョヴィかよ。映画は、そんなお寒いポップロック調ではなく、むしろ後半に進むに連れてフィルム・ノワール(笑)感を強めていく。と言っても、最初はヒゲがボーボーだったクライヴが、ヒゲを剃って黒いトレンチコートを着るだけなんだけど。ただそれだけなんだけど。すっかりキラー時代を思い出し、自らに酔いしれるクライヴは、とりあえず悪そうなヤツをとっちめた後に、マルコムの家に忍び込み、ヤツに銃を向ける。そして銃のサプレッサーをゆっくりとはずして「今すぐは殺さない。ある日、ある晩に、お前を必ず殺す。その時までおびえてろ」みたいなことを言ってその場を去る・・・が戻って結局殺す!!我慢できなかったんだね!!

元恋人役のシャーロット・ランプリングは明らかにババア過ぎるし、何のために出てくるのかもちっとも分からない。おまけにマルコム・マクダウェルのクソみたいなレイプ理由「ジョナサンが調子こいてたんで思い知らせてやりたかったんです。だから掘ったんです。」も若干納得がいくくらい、ジョナサンが調子こいているので、どこに感情の機軸を置いたら良いのか分からないまま映画は終わる。

でもレイプ被害者の心理に詳しい専門家に話を聞く場面と、マルコムが殺されそうになったときに「お前も弟と同じ、自意識過剰のうぬぼれたオナヌー野郎だ!!」というセリフは印象的。まるでフィルム・ノワールを見過ぎて洗脳されたようなナルチシズム感たっぷりのクライヴに、この言葉を浴びせることで、それまでカッコ良さが覆されるような説得力を持つ。いや、男はうぬぼれだって良いじゃないという監督の肯定なのかもしれないけれど。

そういう監督の自己満足と、観る側に委ねますといういい加減な手段は気に入らない。ラストは、冒頭と同じ場面を繰り返すのだけど、こういう場合は映画を観る前に見た冒頭のシーンが、全く同じだとしてもラストに観ると180度異なった解釈を持たせる手法にしてほしい。なんでカッコつけたがるかなぁ。ヒットしなかったのも納得です。ダサすぎる邦題も減点。

♪今聴いている曲
WavvesKing Of Beach
どうだろう、ナンセンスな歌詞は面白いけれど、以前の方がゆるくて好きだった。もっと行儀が悪くなってしまったな、この子は。嫌いではないです。

King of the Beach

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