『やさしいライオン』

ちびっこと同じように、私もやなせたかしの絵本がすきなのですが、先月アンパンマンミュージアム(横浜)に行ったときに遂に絵本を大量に大人買い。後悔はしていない。そのうちアンパンマンではないものが、この二冊です。amazonで買おうと思えば買えたけど、店頭にあったら買おうとなんとなくずっと心に決めたまま、ずいぶん長い月日が流れていました。

『やさしいライオン』は、手塚治虫先生がアニメ化したことでも知られていますが、これは「泣ける」。いや、本当にこんな簡単な、しかも何の説明にもなっていない言葉で説明をしたくないし、決して片づけられるものではないんですが、やはり泣ける。なんと絵本を売っていた本屋で立ち読みして、人目をはばからず号泣してしまった恥ずかしい体験談まで持つ私が言うのだから!!信用しろ!!

みなしごのライオンはいつも震えていたのでブルブルと名付けられます。ブルブルは、ムクムクという優しい犬に育てられることになり、犬のようにしつけられ、子守唄を聞きながら眠りにつく日々。成長してもブルブルはライオンのような獰猛さはなく、心優しいライオンに育ちます。ですが、そんな2匹を引き裂くようにブルブルは遠くの動物園に連れて行かれ、少し年を取ったムクムクは取り残されてしまいます。

年月が過ぎ、サーカスの人気者となったブルブル。それなりに幸せなのかもしれませんが、夜になると思いだすのはムクムクの温もりとあの優しい子守唄・・・ある晩、その子守唄が遠くの方から聴こえます。檻を突き破り、金色のたてがみをたなびかせて夜の闇を疾走するブルブル。あの何かに怯えて「ブルブル」と震えていた小さなライオンの姿ではありません。そして向かった先には今にも死にそうなムクムクがいるのでした。

再会を果たしてしかと抱き合う2匹を待ち構えるのは、悲劇かもしれません。でも単なる悲劇では終わらない、優しい安堵感に包まれます。家庭内の事情から母親の愛情に強い執着を持つ私にはこらえきれないものを感じました。絵本として、ストーリーには少し悲しいところを除けば、特別なところは特にないと思います。そのシンプルさ、そして太い線で力強く囲まれたキャラクターの優しい造形、豊かな表情‐とりわけフサフサのまつ毛がムクムの愛情深い眼差しを表していると思います‐そのすべてが大切にしたくなる絵本です。
個人的に一番スパークしたのは『チリンのすず』なんだけど、それはまた近々語ります。

♪今聴いている曲♪
A.M. Architect 『TheRfw Sessions
結構聴いてて面白いなと思った。少し刺々しさがあるけれど、もっと洗練されたらすごくいい塩梅かも。歌詞がない分、負担なく聴ける。http://vimeo.com/15273115