『ザ・ライト〜エクソシストの真実〜』

アンソニー・ホプキンスエクソシストを演じるというだけで、不安と期待が入り混じっていたのだけれど、今現在でもバチカンで行われているという悪魔祓いを題材にした今作の滑り出しは良かったんですよね。神学校に進みながらも信仰心を失い、自ら神父への道を断とうとする主人公のマイケルが、仕組まれたような偶然によってバチカンへ2ヶ月間エクソシストの研修を受けに行く。そしてそこで出会う異端のベテランエクソシストであるルーカス神父の元で、現代の悪魔祓いを目の当たりにするというお話。マイケル君は才能はあるのだけど、真面目そうな顔の割に信仰心がないために当然悪魔も信じません。大人しい少女が、デスボイスで口汚く神父を罵り、背骨が捻じ曲がったようにのたうちまわっても、神父に「精神科に見せたほうがいい」と進言し、口から釘を吐いても「呑み込んだんだ」と頑なに悪魔の存在を否定し続けます。一方神父も、悪魔祓い中に携帯電話に出たり「緑色のゲロ吐いたりするのを期待したかい?」と言うように、映画で刷り込まれた悪魔祓いのイメージを払拭するような淡々とした職人チックさが、この映画の面白みだと思った。それも前半までなんですけどね。

少女を救えなかったがために、悪魔に魅入られてしまうルーカス神父を今度はマイケルが救おうとするのだけど、悪魔はとことんマイケルの弱みに付け込んでくる。魔の手は、わだかまりを残すマイケルの親子関係にも及ぶ。父親役のルトガー・ハウアーのいぶし銀ぶりにますます磨きがかかっていて、出番が少ないのがとても残念。この関係を掘り下げてくれた方が、良かったと思う。最終的には結局、派手な悪魔とのお決まり感あるバトルが繰り広げられてしまうので、せっかく前半で映画のような悪魔祓いを揶揄したくせに、見慣れた展開にコケてしまったため、後半は少し退屈なまま終わりを迎えてしまった。とはいえ、信仰は己の弱さとの戦いであり、悪魔の存在こそキリスト教の意義を支えているのだと考えたりしました。すべてを笑い飛ばせると知ってしまったら、神に対する信仰は必要性を失ってしまうと恐れて、アリストテレスの本に毒を塗ることと同じように、宗教家にとって大衆の信仰心は常に危惧すべき問題なんでしょうね。事実に沿ったことを重視しているため、作品として主張することはありませんでしたが、米国での聖職者の減少や信仰の薄れについて、それとなく触れていました。

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