『ラブド・ワンズ』桃色片想い♪

まず一言、面白かったー!5月に開催された「TRASH-UPLINK!! vol.8」で紹介されていたのがきっかけで、この作品を観ようと心に決めていたので、なんとかシアターN渋谷上映最終日に間に合ってよかったです。このタイミングでブログに感想を載せてもあまり有益ではないかもしれませんが、セル化を願ってしたためようじゃないですか。

物語は高校3年生の爽やか青年ブレント君がお父さんと和やかなドライブに出かけるところから始まります。二人は談笑しながら車を走らせるのですが、突如目の前に男が現れたことによりハンドル操作が狂い、木に激突。お父さんは亡くなってしまいます。以来ブレント君は心に傷を負い、自傷行為を繰り返すようになります。半年が過ぎた高校3年の卒業シーズン、ようやく心を開くことが出来るガールフレンドに出会い、なんとか立ち直りかけていました。そこでローラという地味な女の子から「プロムで私と一緒に踊らない?」と誘いを受けます。それが戦慄のパーティへの招待状だったのです。もっともブレント君は誘いを丁重に断るのですが・・・

非常によく出来たホラー・コメディでした。身動きが取れない状態になった主人公に対して振る舞われる、小公女ローラとその一番のファンであるダディの華麗なるサディスティック・メニューの数々。ターコイズブルー色の注射は声潰し、フォークで胸に刻むは王子様の烙印、いたずらをする可愛い足には釘を刺しましょうラララ。

悪魔のいけにえ』の狂宴シーンが大好きな私にはたまりませんでした。それに『プリティ・イン・ピンク』のヴィヴィッドなキュートさがプラスされたら、最強ですよね。『ミザリー』や『キャリー』といったルナティック乙女たちへの愛も詰まってます。ローラちゃんはピュアで真っ直ぐな女の子、ただちょっと愛情表現が人と違って不器用なだけ。そんな彼女を見守るダディこそが監督自身なのかもしれません。愛娘のためにあらゆる残虐な手を尽くすダディに胸が熱くなりました。バービーにはケンという恋人がいるのに、どうしてうちの娘に見合う男がいないんだ?という複雑な親心です。お父さんは心配性。泣けます。

同時進行で描かれるブレント君の友人とパンクス少女との恋模様?も、ほとんど本筋には関係してこないのですが、展開に緩急をつけて良い箸はさみになっています。一応ちゃんと絡んでますしね。さらに、ローラに捕まる前に、死に場所を探すように彷徨う主人公が、ロッククライミングをする場面も、一件自分の命を粗末に考えているようで、本当は生に執着しているということを表しており、その後のパーティでの攻防で見せるタフさに効いてくるあたりが良いです。また、宴にはブライト・アイズという痩せ衰えた母親も出てくるのですが、彼女の存在も控えめではあるものの、ローラの激しい嫉妬の対象として描かれており、複雑な乙女心を演出しています。

元々CMディレクターをしていたというショーン・バイルン監督はこれが長編デビューということですが、やっぱりCM撮ってた人は一つ一つの画面作りが丁寧でいいなと思います。特にラスト、くんずほぐれつのキャットファイトや、グッと引いた緊迫感あるロングショットなど見どころ満載。ローラちゃんが結婚式で流すと決めている曲のリフレインも良かった。最後の最後までプリンセス・ローラに圧倒されるラブリーな作品でした。