『アナグルモール』語り

福地先生が現在、体調を崩されて連載をお休みしているということなので、応援のつもりで今回は「アナグルモール」について書こうと思います。

アナグルモール 1 (少年サンデーコミックス)

アナグルモール 1 (少年サンデーコミックス)

主人公のルチルは見た目は普通の人間の男の子ですが、実は人類未踏の地下深い世界に住んでいる「マジン」と呼ばれる種族です。マジンたちは人間たちを遙かに凌ぐ身体と、「マジナグラム」と呼ぶ特殊能力を持っています。にもかかわらず、彼らの間では人間を凶暴で恐ろしい、強力な敵であると言い伝えられており、多くの彼らはそれを鵜呑みにして信じています。「地上に行くなんて無謀だ」そう言われている中で、ルチルは人間の弱点を探るために自ら名乗りを上げてスパイになるのでした。

一巻では、ルチル少年が草薙家にホームステイし、人間のデータを収集しようとする話が中心となっています。長女の千羽、次男の京介らと関わるうちにルチルは自分たちの種族にない「家族」という存在を学んでいくのです。そしてマジンにはない「あいじょう」という感情についても・・・

と、ここまで書いているとハートフルなヒューマンストーリーだと誤解されそうですが、殆どがギャグで構成されています。そこがいい。福地節全開です。では「アナグルモール」の良さを列挙していきましょう。

1)アクション
アナグルモール」は「タッコク」のギャグセンスと「うえきの法則」の能力バトル要素を併せ持つ作品といえます。動きがとにかく多く、アクションでグイグイ引き込まれます。元々福地先生は体のバランスが手足に掛けて特徴的に細くなるように描かれるのですが、このタイプの体型はアニメでもよく見受けられ、アクション描写がしやすいのかなと思ってます。躍動感が出やすいのではないかと。とりたてて個性的なアングルが多いわけではないのですが、見やすくていきいきとしたキャラクターのアクションが好きです。

2)世界観
人間界とは異なる世界を地下に築いている「マジン」たちには独自の言葉があります。何でルチルが地上で人間語をベラベラなのか分かりませんが、彼にもしょっちゅう分からない言葉がでてきます。「あいじょう」とかね。一方で、マジン語もたくさん登場するのですが、私はその語感に福地先生の個性が炸裂していると思うんです。まずマジンたちの使う特殊能力の名前。彼らはそれぞれ一人ずつ異なる能力を持っているのですが、例えばルチルの特殊能力「デコス」「ボコヘル」。名前からなんとなく連想できるかもしれませんが、凸と凹からきています。つまり対象物をデコス=隆起させたり、ボコヘル=陥没させたりすることです。他にも対象物を軟化させる「プリマ」、相手の能力をコピーする「マネル」、対象物を操作する「マリオ」などなど。また、マジンの弱点でもある耳当ては「ミガルド」と言います。なんだかかわいくないですか?ルチルの能力である「デコス」と「ボコヘル」はその名の通りで単純なのですが、その明快さが気持ちよく、なおかつ応用を効かせてくるので面白いです。

物語としては2巻の小型化させる「コルト」戦が白眉、というかお気に入りです。

某海賊漫画みたいにグチャグチャに鼻水垂らさないのがいい。なのにいい表情です。繊細な人しか描けないって、こんなの。あと数ページでギャグに転化してしまうあたり、自分の悲劇も笑いにして人に話してしまうタイプの人にイイでしょう。トラジディに酔えない、照れ屋さん向けだと思うのアタシ。

3)ストーリー
主人公のルチルはモノを凸凹させるだけの能力しか持っておらず、昔から落ちこぼれ扱いされ、爪弾きにされています。負けん気だけは失わない熱いやつです。認められたい、バカにした奴らを見返してやるという負け犬スピリットで意を決して地上にスパイとして飛び出しますが、むしろ彼に衝撃を与えたのは、人間の持つ「心」でした。ルチルが今まで感じることのなかった「家族」という居場所、熱い「情」に触れていくのです。特に草薙家の次男の京介は不良に見えますが、誰よりも不器用で正義感が強く家族想いです。彼らの友情も見もの。とはいえ、別にルチルは知らないだけで感情のないドライな性格というわけではないんですけどね。マジンは能力は高いのですが、基本的にものすごく頭が悪いのです。バトルしか脳がないようです。

個人的には一巻の人間界で奮闘するルチル少年のドタバタ劇をもうちょっと楽しみたかった感があるのですが、長女の千羽がさらわれてしまい、彼女を取り戻しに地下世界(アナグランド)に戻らざるを得なくなってしまうので、二巻からはお尋ね者となってしまったルチルと、人間の「大魔王」として同じく指名手配をされた京介のコンビネーションとバトルを楽しむのがメインになっていきます。襲ってくるマジンたちはルチルと違って、割と本気で性格が悪いので結構ヒヤヒヤ。どれも個性的です。あと密かに好きなのは、千羽のストーカー。期待してます。

4)おんなのこ
クドクド抜かしてしまいましたが、福地先生の作品は「おんなのこ」の魅力が9割を占めています。いえいえ、今まで書いてきたことが嘘というわけではありませんが、現在読んでいる数多の漫画の中でも群を抜いておんなのこがかわいいのです!!太股のムチムチ感、ほっぺのプニプニ感、デフォルメも可愛すぎます。あーかわいい。千羽ちゃんかわいいよ!スーハースーハー。動きも表情も多様性に富み、クルクル変わる表情と仕草に癒されること間違いないです。

ちょっと勝気なところがたまりません。「メッ」顔に弱い。

逆に男の子はもうちょっと骨っぽさが出ると良いかな。ルチルは小柄なのでともかくとして、京介はパツパツのデニムがちょっとヤらしいです。

とにかく可愛い女の子に癒されたいという邪心だけで読み初めても良いぐらいですので、おすすめです。どのキャラクターも本当に魅力的。女性にもオススメです。

三巻ではマジンに対して非力だった京介が開眼し、戦いに積極的に関わっていくことになるので、今後一体どうなるか予想ができない展開になっています。福地先生にはまた筆を振るっていただくためにも、ゆっくりでも全快を祈念しております。読んで応援!だよ!

アナグルモール 3 (少年サンデーコミックス)

アナグルモール 3 (少年サンデーコミックス)