2013年、あえての紡木たく


あけましておめでとうございます。師走よろしく年末らしい投稿もできずにいましたが、年始は連休に恵まれてのんびりしておりました。今年はもうちっとブログもまめに書こうと思ってます。毎年言ってんじゃんっていま自分につっこみましたけど、毎年思ってんだよ。わりーか。ちきひょー。ばかやろぉー。

おっと言葉遣いが悪くなってしまいました。それというのも今日初めて紡木たく先生の『ホットロード』を読んだから、ヤンキーらしい言葉遣いをしたくてたまらないのかもしれません。ええ、2013年あえての『ホットロード』です。

私の母親は、厳格というよりは単に「お堅い」両親のもとに育ったため、NHKしか見させてもらえないような家庭環境でした。漫画もギリギリ泣きを入れて「りぼん」と「ちいさな恋のものがたり」だけは読ませて貰っていたそうです。その影響も(わずかに)あり、私も所謂なつかしの少女漫画といえば陸奥A子先生などのおとめちっく路線しかうちになく、故に昔のマーガレット系作品は読んでなかったんですよね。

紡木たくといえば気志團綾小路翔さんが愛してやまない作家さんで、以前インタビューで(確か数年前のH<エイチ>のコミック特集)熱く語られていたのを読んで以来、読みたいと思い続けていました。そこで三が日の20%オフにかこつけて、ブックオフで全4巻購入。

さて早速感想です。あらすじは割愛しますね。

まずはじめに読み手としての自分を説明すれば、私は心の奥底ではパンクな反逆精神を持ちながら、勉強もそこそこにちゃんとする、先生にも気に入っていただけるような真面目な学生でした。友達は少ないけれど、人には恵まれたので(人並みの黒歴史はあるけれど)幸いグレることのない人生でした。それでも度々「ふりょうになることのできない自分」にイライラすることもあったので、学生時代に『鈴木先生』を読んでいたらバイブルになっていたことでしょう。そして所謂不良は好きではありません。小六の時に(どういうわけか)私に告白してきた男の子が、その後、中学に入って学年一の問題児になってしまったこともトラウマでした。言わずもがな、お付き合いすることもなかったです。平成に流行った「ヤンキーもの」作品も、あまり好きではありませんでした。好きになる男の子も、暗い文化系タイプの子が多かったです。いずれも、ジメジメした片想いだけで終わりましたが。

話は長くなりましたが、基本的に母親の愛情深い家庭で育っているので、ベースからして主人公の和希とは全く異なりました。だから『ホットロード』も共感しながら読み進んだわけではありませんでした。和希が惹かれる「族」の春山も、最初はピンと来なかったです。しかし、愛情が希薄な環境で、居場所を見つけられずにいた彼らの目がいつも寂しそうで、とても綺麗なのです。そして彼らに降り注ぐ日差しは悲しいほどあたたかく、煌々と光るテイルランプはまばゆいのです。それらが彼らの「心ぞうが痛い春」をやさしく照らすのです。

散らばる和希の傷だらけのモノローグは、絵と共に感傷的にえぐってくるんですよ。彼女の幸せを祈らずにいられないんです。命を粗末に扱う危うさと、ぶっきらぼうな春山の優しさも次第に魅力的に見えてきます。彼を見る和希の切ない横顔、そして女の子目線な男の子《春山》のキラキラした表情。今にも消えてしまいそうな儚い存在の一瞬を、本当に見事に切り取ってるんです。和希と春山の純愛が主軸ですが、和希と母親の母娘愛も大きなテーマになっています。先程は愛情が希薄だと書きましたが、親は愛情を与えているつもりでも稚拙であるが故に自己満足の範囲を超えず、それがきちんと娘に伝わっていない問題があるのです。誰かを愛することは、その愛情が別の人間である相手にどう伝わるか考えることも必要だなと思いました。お母さん、ありがとう。

紡木たく先生の作品はたくさん読んだわけではありませんが、言葉と絵、そして余白さえも三位一体になり、こうもエモーショナルに訴えてくると思いませんでした。

途中何度かうるっとしますが(春山にはヒヤヒヤとさせられます)、最後はふつうに泣いてしまいました。涙脆いので、私が泣いたというだけではもはやなんの評価基準にもならないのですが・・・。主人公たちが精神的に成長し、ただ幸せにするのではなく待ち受けている社会の厳しさに立ち向かえるだけの強さを持たせて、締めくくるところがとても良かったです。

2013年あえての紡木たく、いかがでしょうか。